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2015.04.23 Thursday

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    ばば。

    2010.03.31 Wednesday

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      ばば。

      ばばは今年94才。
      もう言葉は話せなくなってしまったけど、
      歩くこともできなくなってしまったけど、
      もうおそらく、私のことも誰か分かってないかもしれないけど、
      いつまでたっても、ばばはばば。

      出かけ際に、手をふると、
      ベッドの上から、
      しょぼしょぼの垂れ目に、かすかなホホエミを湛えて、
      ひょこっと手を振り返す仕草が、
      どうしようもなく、かわいらしい。

      その容姿は今、どんどん子供に戻っているよう。
      小さく小さくしぼんでゆく。
      彼女の時計の針だけ高速逆回転しているみたい。
      幼少の頃に見た、筆を持って「書」と向き合っている、
      シャキッとした面影は、もうそこには微塵もない。
      でも、ばばはばば。

      このひとが父を生み落とさなければ、
      僕はこの世に存在しない。両親も然り。
      だからきっと、
      誕生日にはこの人たちに感謝するのが良い。

      年を重ねるにつれてわかってくる、いろいろなこと。
      風を切って歩くより、
      風を感じながら歩くほうが気持ちが良い。
      酸欠状態で走っていたらたぶん気がつかない。
      疲れたら、一度立ち止まって、深呼吸。

      もしかしたら、
      本当に一番大切なことは、
      自分の一番最後のときに、
      ようやく、気がつくのかもしれませんね。